広島針の製造の歴史は、遠く300年以上前、藩主浅野家が下級武士の手内職として普及させたことに始まります。以来、品質の向上や製造の効率化などを図り地場産業として名を知られるようになりました。
広島湾に注ぐ太田川の上流50キロの中国山地の中にチューリップの針工場がある「加計」(現、安芸太田町)という地域があり、江戸時代には、中国山地の大砂鉄地帯に位置する出雲と並ぶ芸北地域の「たたら製鉄の中心地」でした。そして、太田川の水運を使って必要な物資を諸国から集めるとともに「たたら製鉄」により製造された鉄を広島に送る集積地として繁栄を極めてきました。
広島針はこのように加計の砂鉄を原料に「たたら製鉄法」によってできた鉄を太田川の水運を利用して、現在の広島市に運び、そこで針として加工することで発展してまいりました。
この鉄を独占した広島藩では、「縫針」生産の地場産業がおこり、現在でも、広島は手縫針、侍針の全国生産量の9割以上を占める我が国最大の針の産地となっております。
広島針は、広島が生んだ針のブランドとして地域団体商標(第5124410号)に登録されています。
Made in Hiroshima は歴史と伝統技術に基づいた高品質の針の証です。
わたしたちチューリップは、針の産地、広島においてお客様に喜んでいただける針を作り続けてまいりました。創業以来、主として手縫針、レース針、編み針を製造し、小学校の家庭科の教材用針セットは業界一位、チューリップブランドのレース針は世界40カ国以上に長年にわたり輸出されております。
30以上の工程にわたって針は作られ、頑固なまでに品質にこだわったチューリップの針職人たちによって、その伝統的な針づくりの技術は受け継がれてまいりました。
また、長年蓄積してきた針の製造技術「切る、削る、磨く」を生かし、絶えず技術の革新に心がけ、最高品質で社会に役立つ製品の開発に取り組んでおります。
すべてのお客様にもっと安心して便利に使っていただきたい、ものづくりをもっと楽しんでいただきたい、その思いを大切にチューリップは針を作り続けてまいります。